日本ではマイニングの情報が多くありません。理由は、電気代が高いことや税制がきちんと整備されておらずリスクが高いことなどが挙げられます。そのため、”マイニングは不人気である”というのが一般論です。一方で、日本でマイニングをやる人もいます。
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趣旨
・日本で暗号通貨(仮想通貨)マイニングが儲からない理由の説明
・BTCの高騰で利益が出しやすくなっている
・趣味で行う人、特殊な環境で利益が出せる人がメインプレイヤーである
・税制も分かりづらく、各地の税務署でも判断が難しい(異なった結論になってしまう)
日本は電気代が高く利益が出ない
2021年1月のデータで、日本のメジャーな電力供給会社「東京電力エナジーパートナー」が提供している電気代レートが、
~120kWh:¥19.88(/1kWh)
121~300kWh:¥26.46(/1kWh)
301kWh~:¥30.57(/1kWh)
なので、BTCのレートが高騰しているという状況でない限り、多くの期間で採算が取れないことが多く、一般論として「日本でマイニングは儲からない」という認識になっているのが定説でした。
昨今、BTCのレートが高騰したこともあり、再びマイニングの需要が増えるか?という思惑もありましたが、実際はそうとはならずPCパーツが高くなることも安くなることも特別ありませんでした。
なぜここまで不人気なんでしょうか?
GPUマイニングの費用と収益、損益は?
一般的に”マイニング向け”とされる「GTX1080」というタイプのGPU(ビデオカード)の消費電力が180~220Wとされています。果たしてマイニングで利益を掴むことはできるのでしょうか?試算してみたいと思います。
費用
1日フルに稼働させたとして、
200W×24時間=4800Wh(=4.8kWh)
1月当たりの消費電力を計算すると、
30日運用×4.8kWh=144kWh
1月当たりの144kWhの電気代は、
~120kWh:¥2385.6
~24kWh:¥635
=(合計)144kWh:¥3020.6
※最大値で計算を行うと
301kWh~:4402
つまり、3020.6~4402円以上の収益を出せれば利益が確保できます。
収益
「GTX1080」が1日に稼ぐ収益額はプールマイニング大手「nice hash」の試算サービスを使いました。
設定では、単純に電気負担を0にしました。GPUは「GTX1080」を選択
シミュレーションから、1日、1週間、1ヶ月での現在の値段での試算結果が出せます。
画像から分かるように収益額は¥9629になりました。
一ヶ月の粗利益は、
9692-3020=¥6672
損益
「GTX 1080」の価格が¥30000~¥4000のため、GPU単体での回収は4.5~6ヶ月
PC全体での回収を検討すると¥150000程度だとして、22.5ヶ月
今の高いBTCレート水準で2年弱かかってしまうのがGPUマイニングということになります。投資として1から考えるとレートの乱高下に左右されるリスクがどうしても気になります。
それでもマイニングをやるのはどんな人?
自作PCのノウハウがあり、GPUの回収さえできればいい人
いわゆるゲーマーのような人でハイエンドのPCをすでに持っているのであれば、マイニングを行うことで最新のGPUを副産物として手に入れられます。
GPU単体でみれば数ヶ月回すことで投資が回収できるので、暫定的に「今だけはマイニングで儲けることができる」という利益を得ることができます。
寮生活などで、生活コストを他人が負担してる人
家賃や電気水道ガスなどの生活コストを会社などが負担している人。もちろん、正確にはこれを会社寮などで無許可で行えば日本では横領になります。
ただし、実態を補足するのは現実的に無理であることと、使われてるパーツはどれも自作PCで当たり前に使われてるものであるため「自作したPCである」と言われたらそれまで
結論、やってみたい人がやってる
単純に言ってしまえば日本では「投資」としてマイニングに魅力を感じている人は少ない。なので、当然に暗号通貨マイニングの情報は乏しくなってしまいました。個人的にも2017年をピークに日本語での情報が減ったし、DMMがマイニングファームから撤退したりGMOも2018年を最後に独自ASICの発表は止まっています。
そのため、現在の日本で投資としてのマイニングを真剣にやってるとしたら「寮生活の人」じゃないでしょうか。
BTCで入ってくる収益がまるまる粗利益となる。現状のチャンピオンですね。
前述の例だとGPU1枚で¥9629、もちろんそれ以上にGPUを積めば効率の良い投資となります。グレーだけど。
税務署の認知リスク
こう書いてしまうと根も葉もないのですが、日本での納税の主舞台となる各市区町村の税務署はあんまり仮想通貨の会計や税務がよくわかっていません。
国税庁の「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和2年12月)」という手引を見ても、ざっくり「マイニングで入手した場合」という形で書かれてるだけです。
例えば、
・プールマイニングのプラットフォームで獲得日時が情報提供されてなかったらどうしましょう?
・厳密にはETHを掘り出されたものをBTCに換算して受け取る場合は「マイニング」で取得額を計算すべきでしょうか?
書き出したらきりがないのですが、、、
採掘時点での過去交換レートは何を拠り所にすんのか?だとか、過去レートが実は具体的な方法は結構いい加減なので取得のタイミング毎に価格を取引所で確認するだとか、税務署に事前に質問を行い言質を取るだとか、泥臭い感じになりがちです。
ネットなどで事例を入手しても、自分の納税地の税務署でその会計処理を行っていいかの判断が変わってしまう場合が多いので細かくコンセンサスを得ながら確定申告に望むことになります。
どこで税務署は情報を得るのか
そもそも暗号通貨は基本的な仕組みとして発行主体が不在です。”何にも縛られず流通する通貨”として誕生した性質上、税務署が補足するのは国内暗号資産サービスを使ったタイミングになるのが推測できます。
・取引所のウォレットアドレスに入金した時
・取引所で法定通貨に換金した時
・暗号資産のままでサービスの支払いなどに使った時
ざっくりですが、一般論として考えられるのがこの3つになります。
そもそも自由に秘匿に使える仕組みの暗号資産ですから、それを補足しようとしたら無理くり本人との紐付けをやるしかない訳です。
日本で仮想通貨はどうなるの?
例えばの話になりますが、暗号通貨のままで支払いに使えた場合は暗号資産の生産から利用までどこにも足をつけずに使うことができてしまいます。
そのためか日本では単純なウォレットサービスであってもKYC(本人確認手続き)が重要になってきます。暗号資産を”使う”サービスを立ち上げるだけでもめんどくさいという訳です。
そりゃ日本じゃ、「暗号通貨を使ったサービスで世の中をよくしよう!」なんて誰もやらないし使わないですよね。となるんですが、本当にこれで良いもんなんですかね?
その点で、海外では少ない金額であればある程度簡単に、大きい金額を操作するならKYC必須など、本来の暗号通貨として機能できるように解釈され運用されてる国が今の暗号資産界隈で活躍しているように思えます。
ただ当然、日本のように「取締がちゃんとできるように」という運用をする国も多く、そういった国では目立つ暗号資産のスタートアップは無いもののの”犯罪収益には使いにくい”ということで、正しさを証明しながら正しいことに使えるといった意味で人権のようなものが確立されているようにも感じます。
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