<目次>
1.最初に
2.野菜のエチュベ
3.スズキのかりかり焼き
4.フランス産小鴨
5.チョコレートのマルキーズ&エスプレッソ
6.最後に
<本文>
1.最初に
新型コロナウイルスによる非常事態宣言が出されて数日後。
ひとつのブログ記事が目に留まりました。
「コート・ドール」斉須政雄シェフ、4月12日の答
https://note.com/naokoikawa/n/nb6c2b0a4f55f
一言で言うと「大変な時ではありますが、いつも通り営業します」
すなわち、斉須シェフの「覚悟」が記されていました。
非常事態宣言が出ていて、自宅の引きこもりを決め込んでいたのですが、
「このタイミングでコートドールに訪問しなかったら、一生後悔するかもしれないのではないか?」という気持ちが出てきました。
レストラン訪問の意思決定で、ここまでなやんだのは人生で初めてのことでした。
1日の間なやみましたが、意を決して訪問するすることに決め、コートドールに予約の電話をいれました。
そして、4月16日のお昼
5年7ヶ月ぶりにコートドールに訪問しました。
2.野菜のエチュベ
空白の期間がだいぶありましたが、コートドールの空気感は全く変わっていませんでした。
良い意味での緊張感が漂っていたのですが、まるで「お寺」のような空気が流れていました。
そのような空気の中、さっそく一皿目の野菜のエチュベがでてきました。
1986年の創業以来、斉須シェフが作り続けている料理のひとつです。
「35年間、どういう気持ちで作り続けているのか?」
そう思わざるを得ませんね。
この料理は、野菜の力強さと酸味のバランスが、その本質と捉えています。
丁寧かつ手を抜かないことの大事を、この料理から教えてもらえます。
そして「子供たちにも、この素晴らしい野菜料理をいずれ食べて欲しい」と願わざるを得ませんでした。
3.スズキのかりかり焼き
二皿目は魚料理です。
一皿目と同様に、酸味が効いていました。
コートドールで体験した酸味は、自分の味覚形成において大きな影響を受けています。
とくにサラリーマン時代のチョコレート開発において、酸味を土台とした味作りの骨格を為していました。
また、スズキの火入れもギリギリを攻めていました。
イチローの野球スタイルを彷彿させるような、求道の精神と言ったら良いでしょうか?
味わいというより、そういった「心持ち」を食している感じでした。
4.フランス産小鴨
三皿目は肉料理です。
イメージは「直球・ストレート・ど真ん中」でした。
小鴨はフランス産でしたが、いわゆる野生的な味わいがありました。
フランスは、もともと狩猟文化が栄えていて、その影響が食文化に影響を及ぼしています。
文化や歴史といった重みを、この料理からは感じ取ることができました。
フランス料理という文化を体現しているのが、肉料理といっても過言ではないと思うのは、自分だけでないでしょう。
その土地で獲れたものを食べること
料理の本質は、こういったところにあるのではないでしょうか?
5.チョコレートのマルキーズ&エスプレッソ
最後はデザートとカフェです。
メイン料理は、だいぶ理性的に食べていたところがありましたが、最後は感情的に食べさせていただきました。
単純に、チョコレートの甘さはとても安心感があり、幸福感を与えてくれるものでした。
そして、極上のエスプレッソで終わらせるのが、コートドールの締めの流儀になります。
こと食後のエスプレッソに関しては、自分が体験した中で一番おいしいのがコートドールのエスプレッソなのですね。
もし「最後の晩餐は何が良いか?」と問われたら、コートドールのエスプレッソと答えますね。
それぐらいおいしいエスプレッソです。
6.最後に
食後に厨房にお伺いし、斉須シェフに挨拶をさせていただきましたが、シェフはいつも通りの笑顔でした。
もちろん、心の内には色々な思いがあったのでしょうが、逆境の時でも基本をぶらさない、その姿勢に勇気をいただきました。
冒頭で紹介したシェフの名言
人間の生き方から出るダシが「いちばんおいしいもの」なのです
自分なりの答えとなりますが
今回のコートドールでは「覚悟」を味わってきました。
正直、このご時世にお店を開けるのは、普通に考えればリスク以外の何物でもないわけです。
それでも、お店を開けるという意思決定をされたのは「本当の強さ」があるからだと思いました。
今回のランチは、人生の食事の中でも、間違いなく記憶に焼き付くものになりました。
再訪をシェフと約束し、コートドールを後にしました。