今回久留米に行ったのは、久留米市美術館で「ラファエル前派の軌跡」展が開催されていたから
19世紀半ばにロイヤル・アカデミーの学生らで結成されたラファエル前派同盟の作品と、彼らのバイブルである「現代画家論」の著者で後にラファエル前派同盟の援助者となる批評家ジョン・ラスキン、ラスキンが崇拝したターナーの作品が展示。
最初の部屋はターナーとラスキンの作品。
ターナーはけっこう好き。数作品でしたがどれも良かった。冒頭の「ナポリ湾」も小品だけどインパクトのある色使いがいいし、「カレの砂浜」がまたいい。ラスキンは・・・ まあどうでもいいや(笑) メインは批評家だし
2室目以降がラファエル前派、および彼らに影響を受けた周辺作家の作品。当時のイギリス美術界がルネサンス全盛期、とりわけラファエロの絶対視することに反発し、むしろラファエロ以前の美術回帰を指向した、らしい。ルネサンス初期と後期の区別もつかない自分にはそのあたりのことはよくわからないけど、絶対的な権威を否定するためにその前の時代を持ち上げる手法がなんとなくプロレスっぽい(猪木を否定してゴッチやテーズを担ぎ出したU系みたいな)
展覧会ポスターにも使われているロセッティの「ウェヌス・ウェルティコルディア」もこの部屋。女性の周りを彩る花の描写がラスキンに手ひどく批判され、決別する元となった、というラファエル前派の歴史の中でも重要な作品。
ラファエル前派というと謎めいた美女と装飾的な華やかな色彩のイメージがあったので、そのまんまなこの作品が批判のもとになったというのはちょっと意外。
個人的にはロセッティのどの作品の女性もおんなじ顔に見えることがどうも気になりました^^;
ミレイの作品ではタイトルも絵そのものも思わせぶりな「結婚通知-捨てられて」が印象的。当時のミレイは後援者であるラスキンの奥さんと不倫中だったことがこの作品書かせた背景にあるようですが、ラファエル前派の連中はこんなのばっかです(笑) ロセッティも後年ラファエル前派の後輩格のウイリアム・モリスの奥さん寝取ってるし(その結果ロセッティの奥さんは薬物中毒死)
寝取られで有名、じゃない、モリス商会の設立者でアーツ・アンド・クラフツ運動の先駆、「モダンデザインの父」として有名なウィリアム・モリスの作品はモリス商会の工芸品と共に最終室に展示。ラファエル前派が装飾芸術的な方向に進んだという点はやはり間違いではないのかな? ただそれがラスキンの思惑とは違う方向だった、ということで。
モリスの友人エドワード・バーン・ジョーンズの作品も多数展示。なんと行ってもインパクトがあるのが「赦しの樹」
恋人に捨てられ自殺した女性がそれを哀れんだ神によってアーモンドの木となり、後悔した男がその気を抱きしめると女が出現し、赦しを与えて彼を抱擁した・・・ という故事に基づいた絵らしいけど。
どう見ても彼女の目は赦してないし、むしろ逃げ出しかけた男を冥界に引きずり込んでいる図にしか見えない、という。「赦さない樹」じゃないのかこれ^^;
ちなみにこの女性のモデルはジョーンズの不倫相手で自殺未遂騒動起こして新聞沙汰になったのだとか。ジョーンズお前もか(笑)
福岡の美術館はちょくちょく行くけど、久留米市美術館を訪れたのは13年ぶり。ちなみにその頃は石橋美術館という名前で、ブリジストンの系列でした。数年前に東京のブリジストン美術館に所蔵品を一本化するため久留米からは撤退、市立美術館として再スタートしました。
美術館のある石橋文化センターはホールや図書館も併設した久留米を代表する文化施設、日本庭園が広々として見どころなのですが、この日は生憎の大雨。とても外を散策できる状況ではなく、美術館内の庭に面した休憩所から眺めるくらいしかできませんでした
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